「最高鮮度」を目指して、終わりなき旅を続けたい【食べるエッセイvol.18】
人生のテーマは「最高鮮度の追求」
「あなたの人生のテーマはなんですか?」と聞かれたら、僕は迷わず「最高の鮮度を追求し続けること」と答えるでしょう。
小売の世界には、どんな食品にも必ず「賞味期限」が存在します。
食肉の場合は、製造日を入れて4日前後。
花よりも短い命です。
賞味期限は言わば、お客様との鮮度の約束。1日経つごとに価格を下げ、期限が過ぎてしまったものは、並べない。直売店で働いていた頃から、徹底的に肉の鮮度と向き合ってきました。
そして、時は流れ2020年6月。
僕は本社へ移動し、卸主体の受注生産型製造加工工場「丸優」の代表として勤務することになったのです。
正直にお話すると、当時の僕は「卸業」という形態があまり好きではありませんでした。
自分で切った新鮮な肉を、お客様(消費者)の元へ完璧な状態で渡したいという思いが強かったからです。
卸の性質上、どんなに鮮度の高い肉を切ったとしても、間に入っていただく飲食店の衛生管理や調理方法が行き届いていなければ、肉本来の良さは伝わらないのでは‥‥‥?
長い間、そんなイメージがあったのです。
しかし、移動から数ヶ月。
丸優の理念や想いに共感してくださる取引先の皆様との出会いによって、卸に対する僕のイメージは少しずつ変わっていきました。
丸優の形態は、いわゆる「受注生産型」。
依頼を受けた後に肉を用意できるため、売れ残ったり、賞味期限切れになる心配はありません。
しっかりとした仕入れと在庫管理。
この2つが叶えば「最高鮮度」を提供できる最良の方法になり得るかもしれない。
僕は今、卸に新たな可能性を感じています。
3時間にかける最高鮮度
普段は卸業メインの丸優ですが、毎週土曜日に、一般のお客様に向けた販売イベント「丸優ジャンボ市」を開催しています。
開催時間は、13時から16時までの3時間限定。
3時間のために肉を切り揃え、3時間だけ販売する。
大事なのは「3時間で売り切ること」。
翌日には通常通り卸業に戻りますから、明日はありません。
丸優スタッフ総出で挑む、勝負の3時間です。
対面販売ならではの熱気、お客様の生の声、肉を魅せるディスプレイ……その瞬間瞬間を全力を尽くす。
僕にとってジャンボ市は「最高鮮度」を体現する究極の瞬間なのです。
ご自宅でも最高鮮度を
とはいえ、世はコロナ禍。
感染拡大を防止するためには、密集を避ける必要があります。
他府県や他市など遠方のお客様にも鮮度の高い肉を届けたい。
そんな思いから、丸優のオンラインストア「IENIKU(いえにく)」が新たに誕生しました。
もちろん「最高鮮度」の見地からすると、
宅配は直接取引に比べて1日以上多くの時間を要します。
いかに、酸素と細菌から肉を守れるかが勝負です。
そこで採用したのが、現在ホルモンの冷凍に適用している「新鮮凍封(しんせんとうふう )」。
肉を急速に冷凍させることで、切り立ての鮮度を閉じ込める冷凍方法です。
お笑い芸人のぺこぱ流に言うなら「時を戻そう」でしょうか(笑)
届いた肉を蔵庫でゆっくりと解凍させていく。
このプロセスを経ることで、肉が熟成され、より深い旨味が味わうことができる。
丸優のオンラインストアなら、ご自宅でも最高鮮度で召し上がっていただけるはずです。
僕たちは「IENIKU(いえにく)」を通して、「売れ残りを冷凍」「あかんものを冷凍」といった従来の冷凍のイメージを根底から覆していきたいと思っています。
「最高鮮度」を追求する。
この挑戦に終わりはありません。
みなさまの今日が、明日が、より豊かでおいしいものになりますようになることを願って、僕は旅を続けます。
それでは、今日はこの辺で。
肉岡肉道でした。
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