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牛丼の「灰汁」や「脂」を取りすぎるのはもったいない!?丸優が教える「牛丼の正体」【食べるエッセイvol.15】

正義と悪の曖昧な関係。これがほとほと人間界なのかな……。

悪は正義が生み出し
正義は悪を非難する。

とはいえ、「力のない正義」なんてのは、むしろ「悪」で、「力のある悪」は「正義」を超越してしまう……。(ちょっと乱暴かな?)

人間の言う「一般論」や「正しさ」なんて、ほとほと曖昧でいい加減なものだなあと思う、今日この頃です。

なぜ突然、こんなことを思ったかというと、

先日、僕は「まるゆうTube【肉翻訳】」(丸優のYouTubeチャンネル)の撮影をしていたんですよね。

動画のテーマは『牛丼の正体』。

突き詰めて言ってしまえば、
牛丼も究極の「煮込み料理」なのですが、

「おいしさの決め手は何か?」という話になれば、素材云々の前に、タレや出汁など……いささかその「味付け」ばかりに気を取られてしまっている人が多いように思います。

というわけで、
今日はズバリ言わせていただきます!

「肉の力舐めんなよ!」と(笑)

「灰汁(悪)」を生み出しているのは「肉」じゃなくて「人」やで!

みなさんは、料理をする際に「灰汁取り(あくとり)」をしていますか?

古くから、材料を入れる順番やタイミングを指示したりする人を「鍋奉行」、食材から出る灰汁をひたすら取り続ける人を「灰汁代官」と呼んだりしますよね。

一見、どちらも気が利く人に見えますが、

実はその行為……肉の旨味をゴッソリ取り除いちゃってるんですよね。(ああ、もったいない!)

本来「灰汁(あく)」は「悪」じゃないし、そもそも生半可な調理をしなければ、生まれないものなんです。

だから「灰汁(悪)」を生み出しているのは「肉」じゃなくて「人」やで!?……と僕は言いたい(笑)

その証拠に、今回の動画では、肉から浮いてくる「脂」こそ、すくって取り除いていますが、「灰汁(あく)」は一切取っていません。

肉の脂があるから旨味を保持できる

「脂っこいのは嫌!」
「さっぱりした肉が食べたい」

という方は多いと思いますが、実はこの「脂」も取り除きすぎないのがベターです。

理由は、肉から出る脂によって鍋の表面に「浮き層」が作られ、肉の旨味を閉じ込めるはたらきをしてくれるから。

脂や筋をじっくり煮込む。
そしてそれが、肉の旨味や酒・生姜・醤油と合わさって、最高の出汁になる。

脂は煮込み料理をする上で、大変重要な役割を果たしてくれているのです。

これこそが本当の意味での「素材を生かす」ってことなんじゃないでしょうか。


素材を生かすという観点で言えば、僕は調味料も最低限しか使わないようにしています。

必要以上の味付けは、
素材の良さを殺してしまいますからね。

ちなみに今回の牛丼も、
砂糖を一切使わずに調理しています。

しっかりと煮込むことで、砂糖を加えなくても、肉の脂が、本来の甘味や旨味を引き出してくれるのです。


もちろん、食の好みは、人によってさまざまですから、好きな素材を好きなように食べればいい。

だけどその一方で、肉をはじめとした素材の立場になって考えてみれば、我々人間の「正義」や「常識」とやらは、実に、身勝手で曖昧なもののように思えてきます。

いつもの調理の手順を見直したり、素材の知識を深めることで、食の世界はもっともっと面白くなる。

これだけは、断言できます。

この記事を読んで「いつもと違う調理法に挑戦してみようかな?」と思った方は、ぜひ一度「まるゆうTube【肉翻訳】」の料理動画「常識を覆すシリーズ」をご覧ください。

肉のプロが心を込めて、あなたを「本当に旨い肉の世界」へとご招待します。

それでは、今日はこの辺で。

みなさまの今日が、明日が、より豊かでおいしいものになりますように。肉岡肉道でした。

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