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「塩振りおじさん」ヌスレット・ギョクチェ氏を見て感じた、肉が映える瞬間【食べるエッセイvol.12】

セクシーな塩振りパフォーマンスで一躍時の人となった「塩振りおじさん」

ワイルドな塩振りパフォーマンスで一躍人気を集めた「塩振りおじさん」
こと「ヌスレット・ギョクチェ」氏をご存知ですか?

彼は、トルコのステーキハウス「Nusr-et(ヌスレット)」のオーナーシェフ。

2017年Twitterに独自のパフォーマンスを投稿したところ、たくましく鍛え上げられた腕で、塩を振りかける姿が「セクシーすぎる!」と話題を集め、一躍時の人となりました。

「Nusr-et(ヌスレット)」の店内には、等身大の塩振りおじさん人形が飾られるなど、まるで「塩振りおじさん」のテーマパーク状態。

動画は世界中に拡散され、その姿を一目見ようとレストランは賑わいを見せました。

ところが2018年「Nusr-Et」がニューヨークのミッドタウンにオープンすると、現地メディアは「肉の味が平凡だ」「どれもオーバープライス」などと指摘。

「シェフのカリスマ性に料理の味が追いついていない」という意見が目立ちました。

確かに僕も、彼の動画を見ていて「かっこいいパフォーマンスや!」とは思うものの「うまそうやな〜」「肉の扱いが素晴らしいな」とは思わない。

それでも「Nusr-Et」は多くの人に指示されている。

一体なぜなのでしょう?

肉が最も映えるのは……?

少し話はそれますが、僕は昔ドーベルマンを飼っていました。

警察犬として知られるドーベルマンは、聡明でたくましい犬種です。

そのルーツを辿ってみると、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ジャーマン・ピンシャーなど、複数の犬種との交配により生み出されたのだとか。

遺伝子的にも優れた性質が取り入れられているのは間違いないのですが、交配を重ねた故、残念ながらドーベルマンの約10%が生まれつき心臓に欠陥を抱えていると言われてします。

全身に血液を運ぶことができないため、食べても食べても栄養が行き届かない。

僕が飼っていたドーベルマンも、この10%であったため、常に飢餓状態が続いていました。

ドッグフードをあたえても、なかなか口にしない。

「なんとか食べてほしいのに‥‥‥」

ぐったりした姿に耐え兼ねず、僕はある日の夕食だった生ハラミを、彼にあげることにしたのです。

ドーベルマンの前に肉を置いた次の瞬間……

驚きました。

まるで別人のようにバクバクと食らいつき、あっという間に完食したのです。

今でも鮮明に覚えているほど、衝撃的な瞬間でした。

与えた肉が良質なものであったことは間違いないのですが、それにしてもすごい勢いでした。

餓死寸前の状態……飢えていたからこそ、ドーベルマンにとってあの生ハラミが特別なものになったのでしょう。

おいしいのはもはや当たり前

塩振りおじさんで賑わう「Nusr-Et」の流行にも、このエピソードと同じことが言えるのではないでしょうか?

消費者は、肉を食べる前に、過激な塩振りパフォーマンスを熱心に観る。

そんなある種のエンタメを楽しむことで、レストランに訪れた人の心は高揚し「早く食べたい」「すごい人が作った料理なのだから、おいしいはず」と期待を高めていく。

ある種の「飢え」の状態が作られるわけです。

人間の脳とは、都合が良いものです。

「おいしい」と思って食べれば、そこそこの肉も極上に感じる。
「高級だ」と思って食べれば、そこそこの肉も高価に感じる。

例えば、飲食業において異物混入はご法度とされていますよね。

レストランに行って、店員の髪の毛が1本入っていた……なんて、ゲンナリしてしまいそうなシチュエーションでしょう。

しかし!!

あの深キョンだったら、どうでしょう(笑)

偶然、深キョンの髪の毛が僕のお皿に入っていた‥‥‥

店長に叱られて、慌てて厨房からかけてくる深キョン。

キュートな彼女に、泣きべそをかきながら「肉岡さん、本当にごめんなさい!」なんて言われたら……僕なら100%許してしまいます。

なんならちょっと嬉しいかもしれません(笑)


一体何が言いたいのかというと、令和の時代において「うまい肉を提供すること」は、もはや当たり前だということです。

衛生的であることも当たり前。

消費者はその先にある付加価値や体験に価値を求めている。

飲食業界関わるものとして、しっかりと現実を受け止めなければならないと思っています。

もちろん、おいしい肉を最高のシチュエーションで提供することが、最も素晴らしいのは、言うまでもありません。

塩振りパフォーマンスだけでなく、料理の味が素晴らしければ、塩振りおじさんの店「Nusr-Et」も、地元メディアに批判されることはなかったでしょう。

幸せな食卓は日常の中にある

最後に。

「幸せな食卓」と聞いてみなさんが思い出すのは、どんな瞬間ですか?

家族旅行で食べたうまいカニ……
クリスマスディナーで行ったレストランのステーキ……
結婚式のファーストバイト……

色々あるかもしれません。

大好きな人と特別なシチュエーションで、おいしいものを食べるのは、何事にも変えがたい喜びですよね。

2021年冬。

新型コロナウイルスの影響で、世の中は混沌としています。

外食や旅行にも行けず、もどかしい日々を過ごしている方も多いことでしょう。

だけど、幸せな食卓は、案外身近なところにあったりするものです。

お母さんが作ってくれた生姜焼き……
お手伝いにチャレンジしたハンバーグ……
奮発して食べたホットプレートの焼肉……

外に出れなくても、大好きな人とおいしいものが食べれたら、きっとこの辛い日々も、いつか優しい思い出になる日が来るのではないでしょうか?


丸優は食肉加工の会社です。

僕は、塩おじさんのように派手なパフォーマンスはできませんし、残念ながら、深キョンみたいな可愛さは微塵もありません。

でも、みなさんの元に「本気でうまい肉を届けたい」と思っています。

普段は卸専門の会社ですが、月に1度だけ丸優ジャンボ市で、肉の一般販売をしています。

うまい肉を真心込めて、沢山揃えておきます。

舞台はあなたの食卓です。

混沌とした世の中に、優しい食卓のあかりが灯ることを願って。

また、ジャンボ市でお会いしましょう。

それでは、みなさまの今日が、明日が、より豊かでおいしいものになりますように。肉岡肉道でした。

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