「ブランド肉=良い肉」ではない!?丸優が教える肉用牛の種類とルーツ![食べるエッセイvol.13】
2021年は丑年。あなたは肉用牛の種類を知っていますか?
2021年の幕開けから、早いもので1ヶ月が経ちましたが、みなさんいかがお過ごしですか?
さて、今年は丑年です。
年賀状に描かれる牛といえば、白黒模様の「ホルスタイン種(乳用牛)」が多いですよね。
確かに、真っ黒の「肉用牛」よりも、なんだか可愛い感じがします(笑)
というわけで、今日のコラムでは、今年の干支にちなんで「牛」の話をしてみようかと。
現在、日本で飼育されている肉牛は、次の3種類です。
・肉用牛……一般的に和牛と呼ばれる牛
・ホルスタイン種……チーズや牛乳などの乳用牛
・交配種……「肉用牛」と「ホルスタイン種(乳用牛)」を掛け合わせた牛
さらに肉用牛である和牛は、
・黒毛和牛種(くろげわしゅ)
・短角和種(たんかくしゅ)
・無角和種(むかくわしゅ)
・褐色和種(あかげわしゅ)
の4種に分けられます。
ちなみに、三田牛や神戸ビーフの素牛は但馬牛なので黒毛和種にあたります。
なぜ、雄の子牛は去勢されるの?
そして冒頭でお伝えした「ホルスタイン種」は、チーズや牛乳となる乳用牛。
ホルスタイン種の中でも、ミルクを出せるのは雌牛だけですよね。
ここで「あれ、雄牛のホルスタイン種はどうなるの?」と思った方もいらっしゃるはず。
牛にとっては大変気の毒な話なのですが、実は、和牛やホルスタイン種も含め、雄雌の性別が存在するのは、産まれてまもない時だけ。
雄の子牛は幼いうちに去勢されるため、牛には実質、雌と去勢牛(ニューハーフ)しか存在しないのです。
一般的に、雌牛の肉の方が、柔らかく上質であると言われていますから、早い段階で去勢することで、男性ホルモンを抑え、サシ(脂)が乗った肉用牛を育てるという目的なのでしょう。
ミルク出ない雄牛(去勢牛)の多くは、和牛と掛け合わされて「交配種(F1)」になったり、肉用牛として市場に出されているのです。
奥が深い……!交配種にクローン牛
「交配種(F1)」とは、肉質の向上などを目的に「肉用牛」と「ホルスタイン種」をかけあわせた品種です。
牛は生き物ですので、当然ながら親が存在しますよね。
父親が「肉用牛」、母親が「ホルスタイン種」。もちろん、その逆もあります。
あなたが「お父さん似だね〜」と言われるように、牛も父親似か母親似かで、白黒模様になったり、「まるで黒毛和牛!?」と間違えるくらいに真っ黒だったりする場合も。
ところが、体の隅々までよく見てみるとどこかに、チロッとだけ白い毛が生えていたりするから実に面白い。
さらに、交配種は、日本だけでなく「アンガス(アメリカ産とオーストラリア産)」などとかけ合わされることもあるため、肉用牛の世界は非常に奥が深いのです。
まだまだ研究段階ではありますが、核移植によるクローン技術によって生産された「クローン牛(ET)」なども話題を呼びました。
ブランドやカテゴリーに踊らされるのはもったいない
ところで、みなさんは「経産牛(けいさんぎゅう)」って聞いたことがありますか?
読んで字の如く、お産を経験した雌牛ですね。
一般的に雌牛は、出産回数が増えるほど価格が落ち、年老いてからミンチ肉にしたり、少し早い段階で再肥育し、肉用経産牛として市場に出ることもあります。
では「経産牛は、安いから味が良くないのか?」というと、とんでもない。
肉質は確かに少し硬いですが、綺麗な空気と環境で長く育てられた分、若い牛とは一味違った深みのある味わいが印象的です。
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牛には、色々なかけ合わせやブランド、産地なんかがありますが‥‥‥僕が伝えたいことは、1つだけ。
何牛でも、外国産でも、マズい牛なんてそう存在しません。あるのは個性だけ。
もしあなたが、おいしくない牛肉に出会ってしまったなら、それは恐らく調理や加工の段階で人間が「マズい扱い」をしてしまったのです。
だからこそ、ブランドや牛のカテゴリーに踊らされるのではなく、本質への理解を深めてほしい。
そんな想いから、今日は牛のルーツや種類について、改めてお話してみました。
実は、みなさんが大好きな三田牛の素牛である「但馬牛」も、そのルーツは海を越えた韓国にあったりします。
「ブランド牛だからおいしい」
「高い肉だからおいしい」
「サシがいっぱいだからおいしい」
「お肉は柔らかいのが1番……!」
そんな色眼鏡は、捨ててしまって大丈夫!
「高い=良い肉」「ブランド=良い肉」ではありません。
ぜひ、本当にうまい肉を、最高の状態で味わってみてください。
肉のことで何かわからないことがあれば、ぜお気軽に丸優ジャンボ市で尋ねてみてくださいね。
それでは、みなさまの今日が、明日が、より豊かでおいしいものになりますように。肉岡肉道でした。
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