本当の名店は看板すらあげていない。僕が追求する「名も無きコンセプト」とは?【食べるエッセイvol.28】
本当の名店は看板すらあげていない
『おばあちゃんが言っていた、本当の名店は看板すらあげていないと』
その昔、子どもが観ていた水嶋ヒロ演じる仮面ライダーカブト天道総司 (てんどうそうじ)の言葉です。
・
・
僕が小売時代から追求している「名も無きコンセプト」も、実は同じような想いからきています。
三田牛を前面に押し出すのではなく、あえて「名も無きステーキ」や「名も無きコロッケ」とブランド名を伏せて販売する。
すると食べてくれた人は
「この間のお肉とってもおいしかったです。一体どんな肉なんですか?」
と尋ねてくれる。
そのタイミングでようやく、僕は「この肉が三田牛であること」を語るのです。
何を売るかではなく、本当においしいものを食べてもらうのが目的だから、ブランドを掲げる必要はない。ずっとそんな風に考えてきました。
「名も無きコンセプト」は会社規模へ
2020年6月。
丸優の本社に来てからも、その精神は変わっていません。
「本社に移動した」というよりも、自分の守備範囲が「会社全体になった」。そんな感覚に近いのかもしれません。
当然、僕のポリシーである「名も無きコンセプト」も会社規模に。一般向け食肉販売イベント「丸優ジャンボ市」の開催や、オンラインストアを活用した「IENIKU」をスタートなど、振り返れば、うまい肉をより多くの方に届けることに全力を注いだ1年だったように思います。
赤身に比べて、価格が高くサシの多いロース系が売れにくいとなれば……
「売れへんねんやったら、原価スレスレで販売してみたらええねん!」
と小売時代から行っていた「ステーキラッシュ」、加工費を抑えた「ブロック売り(ブロック肉の状態のまま販売すること)」をはじめて社員を驚かせてみたり(笑)
するとその結果……
あまり売れ行きが良くなかった肉もびっくりするほど、売れはじめたのです!
ブランドだから、おいしい?
ブランドだから、高い?
安い肉だから、おいしくない?
そんなくだらない常識は、さておき。
まず食べてもらえる機会を、こちらが用意することが大切なのだと、改めて実感した1年でもありました。
「この間のお肉とってもおいしかったです。一体どんな肉なんですか?」
今も昔も。
お客様にそう言っていただける瞬間が、なにより嬉しい。
・
・
本当の名店は看板すらあげていない。
僕の「名も無きコンセプト」への挑戦は、まだまだ続きます。
今後の丸優に、乞うご期待を!
それでは今日はこの辺で。
みなさまの今日が、明日が、より豊かでおいしいものになりますように。
肉岡肉道でした。
この記事へのコメントはありません。