O157だけじゃない!暖かくなる前に知っておきたい「食中毒対策」【食べるエッセイvol.24】
寒い冬も終わりを迎え、
だんだんと日差しが暖かくなってきましたね。
気温や湿度が高くなってくると、
心配なのが食中毒です。
食中毒の定番といえば、
O157(腸管出血性大腸菌)。
その名の通り「大腸」に生息する菌で、汚染された食品・食肉を食べることによって感染します。
通常O157は、胃や肝臓、筋肉には存在しないのですが、なぜか、食中毒を引き起こすのは、せんまい(胃)・レバー(肝臓)・ユッケ(筋肉)と言った生食ばかり。
これは一体、どういうことなのでしょう?
今回は、「相互汚染」と「交差汚染」の観点から、日常生活の中で心がけたい食中毒予防についてお話ししていこうと思います。
汚染された服・器具・機材から食中毒を防ぐ
通常、屠畜解体の段階では、O157をはじめとした食中毒を防ぐため、あらゆる面で徹底した衛生管理が行われています。
しかし、近年、HACCPシステム(※1)の導入によって、O-157が陰性の場合でも、一般細菌の値が高くなる事例が明らかになりました。
(※1)原材料の受入から最終製品までの各工程ごとに、微生物による汚染、金属の混入などの危害を予測した上で、危害の防止につながる特に重要な工程を継続的に監視・記録する工程管理の手法(参照:HACCP認証協会)
例えば、昇降作業台のふちに牛の外皮(牛にとっての上着の部分)が触れたとします。
当然ながら毎回洗浄消毒を行うのですが、担当している作業員のエプロンが、わずかにでもその外皮に触れてしまえば、そのエプロンから、手、包丁へと、たちまち汚染がはじまります。
こうした事態を防ぐために、食肉加工センターでは、使用した器具・グローブ・機器・エプロンは、必ず全て個体ごとに殺菌洗浄を行い、安全な肉を提供しています。
僕個人のことで言えば、肌に触れる作業着はもちろん、冬場は重ね着をし、毎日上着ごと洗濯をするよう心がけています。
洗濯をしてくれている家族には、手間をかけて申し訳ないのですが、手洗いやうがい同様、身に付けるものの清潔さも、食中毒を防ぐ上で、重要なポイントだと考えています。
外食や家庭で食中毒を防ぐには?
家庭や外食で発生する食中毒は、不注意な肉の取り扱いから起こることがほとんどです。
例えば、父親・母親・息子2人で焼肉店に出かけたとします。
焼肉をトングで網に載せて焼き、次にホルモン(大腸)を同じトングで焼く。
さらに、焼き上がった肉を、息子たちの皿に入れる……のは絶対にNG!!
この時点で、トングによる「交差汚染」が起きてしまっているからです。
食中毒を確実に防ぐためには、肉を焼く「トング」と「取り分け箸」をわけておくことが大切。
「これまで大丈夫だったから……」
「火にあたっているから、消毒されているだろう」
そんな油断は捨てて、これからの温かい季節も安全に食事を楽しんでくださいね。
それでは、みなさまの今日が、明日が、より豊かでおいしいものになりますように。肉岡肉道でした。
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