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ブロック肉を制するものは肉を制す【食べるエッセイvol.7】

1番おいしい肉の食べ方とは?

「一番おいしい肉の食べ方って何ですか?」と聞かれたら、僕は迷わず「大きいブロック肉を焼いて、小さくカットして食べる」と答えるでしょう。

ブロック肉を買ってきて、最低限の下処理をし、後は焼いて食べるだけ。

「たったそれだけ?」と思われるかもしれませんが、それだけです。難しいテクニックは、必要ありません。

「肉を塊のまま焼くなんて……」と思われた方は、少し頭の中で秋刀魚(さんま)をイメージしてみてください。そうです。みんな大好きな秋の味覚、秋刀魚です。

みなさんは、秋刀魚を焼くとき、頭の部分、腹の部分、それから尻尾と……一度バラバラに切りわけてから焼いていますか?

恐らく多くの方が、最低限の下処理だけ済ませて、そのまま焼いて食べているはずです。

「食べにくいから!」と言って、焼く前にせっせとはらわたをエグったり、骨をとったりなんてしませんよね?

そういうのは、焼いてからやればいいんですから。

実はコレ、肉にも共通して言えることなんです。

パック肉が高値で売られる理由

みなさんは、スーパーのお肉コーナーでこんな光景を見かけたことことはありませんか?

とあるスーパーで、小さいパックに入った豚バラ肉が、100gあたり120円で販売されています。

一方隣のコーナーにある、少し大きめの豚バラブロック肉は100g=110円、さらに隣のコーナーにある豚バラ丸ごと1本はなぜか100gあたり99円で販売されている……。

肉のサイズが大きくなればなるほど、100gあたりの値段が安くなっていくなんて、何だか不思議じゃないですか?

「え、なに……! 錬金術なの!?」

もちろん、そんなわけはなく……(笑)

この原理には、ちゃんとした理由があるのです。

さきほど紹介した、秋刀魚の例に戻りましょう。秋刀魚にも、はらわらや骨といった人間が食べにくい、と感じる部分がありましたよね。

それは肉も同じ。

業務スーパーや肉屋でブロック肉を買うと、必ずと言っていいほど、あちこちに硬くて白い「スジ」が入っています。

包丁を通せば、案外スーッととれるものなのですが、特に太いスジはちょっぴり食べにくい。

だからこそ、スーパーで綺麗に並ぶパック肉は、スジを完全に取り除き、食べやすいように一口サイズに切り分けられて販売されているのです。もちろん、作業が複雑になる分、人の手間がかかります。

一方ブロック肉は、打つ切りにカットするだけなので、手間いらず。工程と時間がかかっていないため、うまい肉を安価で提供することができるというわけなのです。

だけど……みなさんが、骨やはらわたのない「秋刀魚」に魅力を感じないように、僕は、スジ一つない加工されすぎた肉をおいしそうだ、とは思わないのです。

なぜなら肉の本当の旨味は、スジにこそギュッと詰まっているから。

先に取り除いてしまうのは、もったいない。

ブロック肉のまま焼いて、後から食べやすいようにスジを切ってあげればいい。

本物の肉通がブロック肉を買わないのには、ちゃんと理由があったのですね。

ブロック肉をおいしく焼こうと思うと、ある程度の知識と経験が必要ですが、一度コツさえ覚えてしまえば、そこまで難しいものではありません。  

“わからないことは肉に訊く”

扱い方ひとつでさまざまな料理に応用できるブロック肉は、まさに可能性の塊です。

2020年から始まった、丸優のYouTubeチャンネル「まるゆうTube【肉翻訳】」でも、ブロック肉のおいしい食べ方を配信していますので、ご興味のある方は、こちらも合わせてチェックしてみてくださいね。

それでは、今日はこの辺で。

みなさまの今日が、明日が、より豊かでおいしいものになりますように。肉岡肉道でした。

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